弁護士は逃げる婚約者を離したくない
最初に視界に入ったファーストフード店で昼食を済ませると、適度に時間を潰した。

スマートフォンのマップアプリで宇大の住所を検索して、それを見ながら彼の自宅へと足を向かわせた。

「えーっと…ああ、ここだ」

8階建てのグレーのマンションだった。

弁護士だし、それなりに稼いでるからタワマンとかもっといいところに住んでいるものなのかと思っていたら、
「意外と庶民的なんだな」

失礼なのは重々承知ではあるが、思わず呟いてしまっていた。

ここの6階で、部屋番号は603号室だと昨日のメッセージには書いてあった。

マンションの中に足を踏み入れて、エレベーターで6階へと向かった。

エレベーターを降りて603号室の前に到着すると、チャイムを鳴らした。
< 43 / 82 >

この作品をシェア

pagetop