弁護士は逃げる婚約者を離したくない
身長は少なく見たとしても180センチ以上はあるだろう。

手足はスラリと長くて、紺のストライプ模様が入っているスリーピーススーツはよく似合っていて、まるでモデルのようである。

1度もカラーリングをしたことがなさそうな黒い髪に俳優のように整ったその顔立ちは、前世で国を100以上も救ったのではないかと思ってしまった。

結構いい男かも…と思っていたら、
「そないなにも見つめへんどぉくれやす」
と、彼は言った。

「えっ…す、すみません…」

しまった、見つめ過ぎてしまった。

「あの…」

「はい?」

「ご出身は…?」

そう聞いた私に、
「京都どす」
と、彼は答えた。

なるほど、言葉に訛りがあるなと思ったら京都府の出身だからか。
< 5 / 82 >

この作品をシェア

pagetop