弁護士は逃げる婚約者を離したくない
第5話*Why do you like me?
確かに季節の変わり目ではあった。

職業柄、手洗いとうがいを心がけている以上は心配ないと思っていた。

仕事から帰ってきたらすぐにお風呂に入っているくらいだから、特に問題はないと思っていた。

ピピッと脇に挟んでいた体温計が鳴ったので確認をすると、
「ーー38度…」

そこに表示されていたその温度に、私は呟いた。

心当たりをあげるとするならば、あれしかないし、あれしか思いつかない。

「ーー移されたとしか言いようがない…」

そう呟いたら、ゴホゴホと咳が出てきた。

あれから1週間、南川宇大の風邪は3日ほどで治ったが今度は私が風邪をひく番であった。

早い話が南川宇大に風邪を移されたと言うことである。
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