弁護士は逃げる婚約者を離したくない
ーーピンポーン…

どこかでチャイムの鳴っている音がする。

隣の家だろうか?

ーーピンポーン

…あっ、ここでしたか。

私は閉じていた目を開けた。

こんな時に誰がきたと言うのだろうか?

来客がくる予定は入っていなかったと思うんだけどな。

首を傾げながら躰を起こすと、マスクをつけるとパジャマのうえからフリースを羽織った。

ピンポーン

誰がきたんだ、本当に。

私はベッドから抜け出すと、玄関の方へと足を向かわせた。

ドアスコープから外の様子を確認すると、
「えっ?」

そこに立っていた人物に、私は目を疑った。

いや、熱が高いせいで変な幻覚でも見ているのか?

そう思いながら、もう1度確認をすると…見間違いじゃなかった。
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