弁護士は逃げる婚約者を離したくない
「小学生の時に父の仕事の都合でこちらに越してきたんどす」

すると彼はハッと何かを察した顔をしたかと思ったら、
「すんまへん、もしかして訛りが出てましたか?」

慌てたように聞いてきたので、私はフフッ…と吹き出してしまった。

「おもしろいなと思ったので」

そう言った私に、
「そうどすか、そらよかったどす」
と、宇大もつられるようにして笑った。

何だ、結構いい人だな。

「恵麻ちゃんは普段は何してるんどすか?」

「私ですか?

『Water Lily』と言うカフェで働いています。

南川さんは…」

「“宇大”でええよ」

…何か言いましたか?

思わず宇大の顔を見たけれど、彼の表情は変わらなかった。

「宇大さんのご職業は…?」

改めて聞いた私に、
「弁護士をしてます」
と、宇大は質問に答えた。
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