弁護士は逃げる婚約者を離したくない
第6話*夢の中の男の子
川沿いのベンチに座っているのは、1人の男の子だった。

どうして1人なんだろうか?

私は彼に歩み寄ると、
「隣、座っていい?」
と、空いている彼の隣を指差して聞いた。

「どうして?」

その男の子は目を伏せたままで聞いてきた。

「座りたいから」

私が答えたら、
「僕の隣にいーひん方がええで?」
と、男の子は言った。

「何で?」

何でそんなことを言うのかよくわからなくて、私は首を傾げた。

「みんな、僕を変や変や言うて笑うさかい」

「変って何が?」

何で彼のことを“変”と言って笑っているのだろうか?

「君まで変や言われんで?」

「エマは変じゃないもん!

エマはエマだもん!」

そう言い返した私に男の子が伏せていた目をあげた。
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