弁護士は逃げる婚約者を離したくない
目を開けると、よく知っている天井が視界に入った。

よく寝たこともあってか、とても気分がいい。

躰を起こして部屋を見回したら、宇大はいなかった。

私が寝ている間に帰ったみたいだ。

テーブルのうえに置き手紙が置いてあったので手に取って確認をする。

『冷蔵庫にプリンとゼリー、冷凍庫にアイスが入っています

キッチンにはレトルトのおかゆとカップうどんが置いてあります

体調がよくなって食欲が出てきたようだったら食べてください』

「標準語だ」

手紙の内容に私は呟いた。

京言葉じゃなくて標準語なんだと、そんなことを思った。

手紙を読むと、薬箱から体温計を取り出して今の自分の体温を測った。

「37度5分か」

体温計に表示されたその温度に私は呟いた。
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