弁護士は逃げる婚約者を離したくない
結局自分の中で何も答えが出ないまま、当日を迎えた。

「これでいいかな」

今日の服は黒のストライプシャツにブラックジーンズである。

どこへ連れて行かれるかよくわからないし、自分なりに無難な格好を考えた。

ドレスコードがありそうなところ…だったら、最初に言うよな。

足元は歩きやすいようにスニーカーでいいか。

「よし、行きますか」

宣言するように言うと、自宅を後にした。

外へ出ると、
「おはよう、恵麻ちゃん」

車にもたれかかっている宇大が迎えた。

そうだ、車で迎えにくるってメッセージがきてたな。

「おはようございます」

私があいさつをすると、宇大は車のドアを開けて乗るようにうながしてきたので私は助手席に腰を下ろした。

運転席に宇大は乗ると、
「ほな、行こか」
と、車を走らせたのだった。
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