弁護士は逃げる婚約者を離したくない
車を走らせること、約1時間ほど…と言うところだろうか?

「あれ?」

窓に映っている見覚えのあるその景色に、私は声をあげた。

ここって、夢に出てきた場所とよく似てる…いや、この場所ってもしかしなくても…。

「ついたで」

宇大がそう言ったのと同時に、車が止まった。

私は急いで車を降りると、その景色を確かめた。

「おばあちゃんの家があったところだ…」

私が今いるこの場所は、中学2年生の時に亡くなったおばあちゃんが住んでいた街だった。

もう10年以上も亡くなっていたうえに、ここへくることも特になくなったのですっかり忘れてしまっていた。

「うん、そや」

同じく車を降りた宇大が私の隣に並んで返事をした。
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