弁護士は逃げる婚約者を離したくない
最終話*僕と結婚しとぉくれやす
宇大は青灰色のその目を細めると、
「やっと気づいたみたいやな」
と、言った。

「えっ…」

私はそう言った宇大の顔を見つめた。

「前に聞いたことあったやん?

“私のどこが好きなんですか?”って」

「ありましたね」

その時の質問の答えは、“恵麻ちゃんそのものにひかれたんや”と全くと言っていいほどに訳のわからない答えだった。

その後で“今はわからへんままでええで”なんて言われるし、宇大が何を言いたいのか全くわからなかった。

「恵麻ちゃんに出会うたのは、僕が小学3年生の時やった」

宇大はそう言って前置きをすると、話を始めた。

「クラス変わったばっかりで周りになじむことできひんかったうえに、僕の目の色のことおちょくってくる輩もおって…あの当時を一言で言い表すとするんやったら“地獄”やった」

そのことを思い出したのか、宇大は悲しそうな顔をした。
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