弁護士は逃げる婚約者を離したくない
「それで、“私そのものにひかれた”と言うのは…?」

「そう、それやで。

僕はあの時、恵麻ちゃんに救われたんや。

恵麻ちゃんが僕の目の色を褒めてくれたさかい、僕は立ち直ることできたんや。

恵麻ちゃんのおかげさんで、僕は自信を持つことできたんや」

宇大はそう言い終えた後、私を抱きしめてきた。

「恵麻ちゃんは、僕の命の恩人や」

「お、恩人って…」

言い過ぎのような気もするが、あの時の宇大からして見たら私はそう言う存在だったのだろう。

宇大の腕の中で私は照れくさい気持ちに包まれていた。

「そやさかい、恵麻ちゃん」

宇大に名前を呼ばれたので、彼の腕の中から顔をあげた。

青灰色のその瞳が私を見つめていた。
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