弁護士は逃げる婚約者を離したくない
どうかしていた、本当にどうかしていた。

「つきあっている人がいたんだ…」

1人暮らしの我が家にて、エビマヨをつまみにビールを飲みながら私は呟いた。

よくよく考えてみたら、当然のことである。

顔もいい、職業もいい、性格もいいと言うハイスペック男を世の女たちが放って置く訳がない。

これはあれなのか?

亡くなった祖母の顔を汚さないように、潰さないようにと言う理由から、この話を受けたと言うヤツなのか?

いやいやいやいや!

「おばあちゃん、どっちも死んじゃってるじゃん!」

大きな声で叫んでテーブルをたたいたら、グラスの中のビールが大きく揺れた。

よくよく考えてみたら、この話を決めたお互いの祖母はもうすでに亡くなっている訳である。

「許嫁とか婚約者って本当に時代遅れだな!」

ポイッとエビマヨを口に入れると、ビールを飲んだ。
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