絶望のち愛
「まゆ。あんちゃんたち、来てるけど、入ってもらってもいいかな?」

たぶん、入院して1週間くらいたったころ、
ママが聞いてきた。

「あん?」

「何回か来てくれたんだけど、まゆが寝てたときだったから、帰ってもらってたの。」


えっ、そーだ、あんは無事だったのかな?

「うん、あんちゃんとメンバーのみんなが、来てくれたよ。」

「あんは、大丈夫だったの?」

「本人に聞いてみればいいよ。入ってもらっていいかな?」

「う・・・ん」



ママは部屋の扉まで行って開け、
「どーぞ」と、声をかけた。

あゆ、ゆう、ひび、らん、しおが、走って入ってくる。

「まゆー。ほんと、ごめんね。ほんと、ごめんね。」

あんが、抱きついてきて、泣きながら、私に謝る。

「まゆが、助けてくれたから、私はどこも怪我しなかったよ。それなのに、まゆが。」

「まゆ、ほんとごめんね。ほんと、ごめんね。」

みんな、泣いている。

私だけが、ぼんやり、あんは怪我しなかったんだなと、思っただけだった。

「まゆ。あと、もうひとつ謝らないといけないの。決勝は負けちゃった。やっぱり、まゆが、いないとダメだった。まゆが、いたから勝ててたの。」

「まゆ、早く帰ってきて。まゆとまた、バレーしたいの。」

「まゆ、頑張って。待ってるから。」

「がんばる?何を?」

「頑張って、怪我治して戻って来て」

「頑張って何になるのよ!動かない右足て、バレーなんて出来るわけ無い!歩けもしないのに!もう、出てって。」

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