絶望のち愛
「もー一本!」
観客席から、声援があがる。
「あと、一点だよ。決めちゃえまゆ」
ゆうが声をかけてくる。
「うん」
床に2度、ボールを打ち付け
ボールを高く上げ、走り込む。
バシッ
相手の選手がレセプションするが、うまく上がらず、
体育館の後方へ、ボールは飛んでいく。
別の選手が走って追い、
目いっぱい手を伸ばす。
が、届かず。床に落ちた。
「キャー。やったー。勝ったー!」
コートの中に走り込み、
あん・ゆう・ひび・らん・しおと抱き合う。
「ヤッター。勝った!」
全日本インカレ準決勝。
私たちのチームは、1セットも落とすことなく、勝利。
明日の決勝戦に進むことになった。