寝取られたくて、彼氏を匂わせてみました
 ズカズカと上がり込んだ海成は、狭いワンルームでは座るところはここしかないとばかりにベッドに座った。

「お茶って言ってもポット無いからお湯沸かすまで時間かかるよ」

「冷たいのでもいい。冷蔵庫になんかないの?」

 キッチンでやかんに水を入れている私に許可もなく、早くも冷蔵庫を覗き込んだ。

 まったく、幼馴染みというやつは遠慮がない。

「珍しい、お前ビール飲むようになったの?」

「それは」

 コンビニのくじで当たった景品だ。


「あぁ、男用か。甲斐甲斐しいことで。今日は俺がもらうけど」

 海成は、プシュッと音を立てて缶を開けるとゴクゴクと缶のままビールをあおった。
 のどぼとけが上下し、惚れた弱みだからか漂ってくる何とも言えない色香がまぶしい。

「なんて顔してんだよ」

 この狭い部屋では、海成が二歩も歩けばもう私の目の前だった。
 おもむろにビールを口に含むと、ダン!と大きな音を立てて缶をキッチンに置く音が響く。

 そこに目線を奪われていると、海成の両手は私の頬を掴み、唇を押し当てた。
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