先輩、好きでした
「さて、お遊びはこんなところにして練習しようか?」
止まらなくなった会話に羽瑠先輩がピリオドを打つ。
「そうだ、先輩!あったんですよ、これ!」
「まじか!さんきゅーな春野」
羽瑠先輩が春野先輩の頭をわしゃわしゃと撫でる。
「やめてくださいよー!ぐしゃぐしゃになっちゃう
じゃないですか!」
「どうせバスケしてたらなるでしょ」
「そうですけどー」
「.......なんですか?それ」
「これ?足とか腕につける重りだよー」
「俺が使いたくてさ、探してたんだ」
「なるほど」
そこからはみんな各自練習に没頭して、あっという間に
時間が過ぎた。
「私と先輩、毎日朝に練習してるからよかったら夏夜ち
ゃんもまた来てね」
戸締りをしながら未来先輩が誘ってくれた。
羽瑠先輩も同調するように頷いた。
.......毎日、2人でやってるんだ
先輩が好意で誘ってくれたのに嫌な気持ちになってしま
った自分が嫌になった。
.......ん?
嫌な、気持ち?
「ありがとうございます」
感謝の言葉を口にはしたものの、心の内はモヤモヤした
ままだった。