紳士な副社長からの求愛〜初心な彼女が花開く時〜【6/13番外編追加】
プロローグ
"青天の霹靂"という言葉がある。
晴れ渡った空に突然起こる雷の意で、予想もしなかった出来事が起こった時に使うことわざだ。
ーーそして私は今、まさにこのことわざを、身をもって体験している。
「ーーーー………灯ちゃん。了承してくれないなら僕はこのまま灯ちゃんにキスしちゃうけど。いいの?」
ふ、と口角を持ち上げ多分に色気を含んだ視線で私を絡め取った和泉さんが、晴れ渡った青空と、ほとんど葉桜になっている桜の木をバックにゆっくりとその端正なお顔を近づけて来る。
この人は、さっきから一体何を言っているんだろう。
全部冗談、だよね?
ヘビに睨まれたカエルのごとく身体が固まってしまった私は、伏し目がちに近づいてくる綺麗なお顔をただただ目を見開いて見つめることしか出来ず。
でも寸でのところであ、これマジのヤツだ、と我に返った私は、咄嗟に言ってしまった。
「わっ、分かりましたっ!了承します!了承しますからっ!」と。