紳士な副社長からの求愛〜初心な彼女が花開く時〜【6/13番外編追加】
ざわざわで、もやもやです
「マッチがそうやって粛々と飲んでの見ると、最初店に来た時いきなりカクテルがぶ飲みし出した奴とはえらい違いで笑えるな」
比呂さんがカウンターからカプレーゼを出してくれながら意地悪く笑う。
「……どうでもいいですけど、そのギンギラギンの人を連想させるようなあだ名、何とかなりません?」
「えー、いいじゃん、深町だからマッチ」
「微妙なところからもじらないで下さい。却下です」
「却下を却下!」
「ふはっ!」
「和泉さんも、笑ってないで何とか言って下さいよ」
私の右隣で吹き出した和泉さんをじとりと見やる。
「んー、比呂くんは一度言ったら聞かないからなー。頑固なんだよね」
「あ、それ、恭加さんが言っちゃいます?」
「はは!」
楽しそうに笑い合う2人を横目に、もういいやマッチでもなんでも、と、私は半分諦めの境地でカプレーゼを摘んだ。
比呂さんがオーナー兼店長を務めるCAFE and BAR "Roku"。
ここへ足を運ぶのは、もう何度目かになる。