紳士な副社長からの求愛〜初心な彼女が花開く時〜【6/13番外編追加】
うーん、和泉さんって過保護なところあるよなぁ……。
苦笑しながらも素直に了承すれば、
『うん。じゃあまたね』
満足そうに頷いた和泉さんがそう言うから。
あれ……、4日ぶりなのに、もうおしまい……?と何となく感じた名残惜しさ。
それを、いやいや和泉さんも仕事で疲れてるんだし、そもそもまだ仕事残ってるのかもしれないし!と声に滲ませないように気を付けながら、
「…はい、また!」
と答えれば。
『あ、灯ちゃん』
「はい?」
『ちょっとだけ、今比呂くんから顔見えないようにしてくれる?』
「え?」
最後にまた飛んで来た、謎の指示。
戸惑っていると、電話の向こうから『副社長』と和泉さんを呼ぶ男性の声がして。
『灯ちゃん、早く』
「はっ、はいっ」
急かされるままに、咄嗟に座っていた身体をくるっと90度回転させて壁の方を向けば。
『……大好きだよ』
和泉さんのとても優しい声色が耳に流れ込んで来て、そのままぷつりと電話は切れた。