紳士な副社長からの求愛〜初心な彼女が花開く時〜【6/13番外編追加】
「そっかー。……彼女と来てるの?」
「彼女……ではないですけど、今全力で口説き落としてるらしい女性と来てますよ」
「ぐっ……!ゲホッ、ゴホッ……!」
比呂さんの開けっぴろげな答えに、今度はカルパッチョに乗っていたピンクペッパーを詰まらせてむせてしまう。
カウンターの向こうからさりげなく刺さる比呂さんの視線が痛い……。
すいません、上手く気配を消せなくて……、って、今のは比呂さんのせいなんですけど⁉︎
「……へー、珍しい。恋愛にそんな熱量傾ける人じゃなかったのに。一体どんな子なの?」
お待たせしました、と比呂さんから出されたジントニックに「いただきます」と早速口を付けながら、その彩也子さんは問う。
「かなり年下です。確か14個下、だったかな」
「えっ、ひと回り以上下じゃない!ってことは比呂くんよりも下ってこと⁉︎」
「はは。そうっすね」
驚きで素っ頓狂な声を上げる彩也子さんに、比呂さんは苦笑いで返す。
「……口説き落としてるってことは、まだその彼女は恭加に落ちてないの?」
「何かくそ真面目な奴で、恭加さんのことは好きだけどそれが恋愛としての好きかどうかはまだ分からないから、とか何とかうだうだ言ってましたよ。まぁそれでも恭加さんがグイグイ行ってるみたいっすけど」
くそ真面目って……!
お通しを彩也子さんの前に出しながらチラッとこちらに目線を流して来る比呂さんを、私は睨む。