紳士な副社長からの求愛〜初心な彼女が花開く時〜【6/13番外編追加】
「……マッチ」
「……何ですかっ」
「眉間に、すっげぇ皺寄ってっけど?」
今度はカウンターから比呂さんの人差し指が伸びて来て、眉間をグリグリされる。
「イタっ、痛いですって!」
そのパワーに思わず椅子から仰反った。
「……なぁ。何でそんなカオしてんの?」
「……そんなカオって、どんなカオですか」
「鏡、見せてやろーか?」
「……遠慮します」
「……マッチ」
「だから何ですかっ」
もう!本当、さっきから何なんだ比呂さんはっ!
ざわざわ、もやもやに、今度はイライラがプラスされる。
「恭加さんに対する気持ち。恋愛としての好きかどうか分からないって言ってたけど、」
「………。」
そんな私の様子には構わずに、比呂さんは続ける。
「それ、自覚がないだけでもうとっくに恭加さんのこと、恋愛的な意味で好きになってんじゃねぇの?」
「〜〜〜………っ!」
ぶわっ!と、一気に顔に血が上った。
"それにね、好きって気持ちも、無理に分かろうとしなくて大丈夫じゃないかな。そういうのは、その時が来たら自然と分かっちゃうものだから。不思議なことにね"
あの時の和泉さんの言葉が脳裏に蘇る。
ーーーどうやら今、私にも唐突にその時とやらが、来てしまったらしいーーー。