紳士な副社長からの求愛〜初心な彼女が花開く時〜【6/13番外編追加】


"そういうのは、その時が来たら自然と分かっちゃうものだから。不思議なことにね"



そう言ってくれた時。



"僕もそうだったから"



と、和泉さんは言った。


和泉さんも過去に"好き"という気持ちが分からなくて、だけどその気持ちが自然に芽生える女性(ひと)に出会えたことがあって。

その時彼がその女性(ひと)を想って見せた優しげな表情に、私はもやっとした。


今思えば、私はあの時すでに和泉さんのことを、恋愛的な意味で好きになりかけていたんだと思う。

だからあのもやっとは、和泉さんにそんな表情をさせる、会ったこともないその女性(ひと)に感じた小さな嫉妬だったんだ。


でも、今日彩也子さんに会って、彩也子さんの話を聞いて、思ってしまった。


その相手は、和泉さんに"好き"と言う気持ちを教えてくれた女性(ひと)は、きっと彩也子さんだったんじゃないかって。


一緒に飲む前、気持ちの温度差に不安を感じて彩也子さんの方から別れを告げたと言っていたけれど。

ひょっとしたら和泉さんは、彩也子さんを失って初めて自分の気持ちに気づいたんじゃないだろうかーーー。
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