紳士な副社長からの求愛〜初心な彼女が花開く時〜【6/13番外編追加】
和泉さんが過去に恋愛して来た人たちを、私は他に知らないからこれはあくまで私の推測でしかないけれど、"その類の女の勘は大抵当たる"と、いつだったか珠理ちゃんが言っていた。
公にせずに隠れてこっそり社内恋愛をしていたらしいとある2人が、ある日突然結婚したというニュースが流れた時。
"やっぱりあの2人、怪しいと思ってたんですよね!"
"え、そうなの?全然気づかなかったよ?"
"まぁ灯さんはそういうの、鈍そうですからね……"
"失礼な"
なんて会話を珠理ちゃんとした時だ。
まさかあの時は私にもそんな女の勘が備わっているとは思ってもみなかったけれど、今まさにその勘とやらが発動してしまった。
「……んー、彩也子さんが恭加さんに人を好きになる気持ちを教えてくれた人、ねぇ……」
比呂さんにはその時のことを掻い摘んで説明すると、また顎に手を当てて思案顔。
「確かにオレの知る限り、恭加さんは相手の方から好かれて付き合うパターンばっかりだったけど。で、"私のこと、好きじゃないでしょう?"って理由で毎回すぐフラれるのがお決まり」
そう言って比呂さんが苦笑する。
「でもまぁそん中では彩也子さんは最長記録、だったかもな。2年くらい続いたか?」
「最長記録………」
……やっぱり私の女の勘、当たってるんじゃないかな。