紳士な副社長からの求愛〜初心な彼女が花開く時〜【6/13番外編追加】
「……和泉さん?」
……どうしたんだろう?
はっ!ひょっとして、慌てて飛び出して来ちゃったから髪型乱れてた⁉︎
そう思い至って慌てて前髪を整える。
あ!それとも、メイクも服装もいつもよりもちょっと気合いを入れ過ぎてて引かれた……⁉︎似合ってない……⁉︎
「あ、あの……っ!変、ですか……⁉︎」
「……違う違う。その逆だよ。少し見ない間に灯ちゃんがますます可愛くなってるから、直視出来なくて困ってる」
「えっ……!」
不安になって勢い良くそう問えば、返ってきた答えはそれこそ予想外で、私の顔をぶわっ!と一気に朱に染めた。
「……ただいま、灯ちゃん」
でも直視出来なくて困ってる、と言った和泉さんは、眉を下げながらも、今度こそ私の目を見つめてふわりと微笑んだ。
「……おっ、お帰りなさい……っ!」
その眩しさに今度は私の方が直視出来なくて、目を泳がせながらも何とか答える。
「灯ちゃんからのお帰りって、なんか、いいね」
そんな私をさらに眦を下げ優しく見つめた和泉さんは、次の瞬間ふわっと私を抱きしめた。
「わっ……⁉︎」
「……ごめん、ちょっとだけ許して?」
運転席には瀬戸さんもいるのに……!
でもそんな風に色気たっぷりに耳元で囁かれてしまえば、抗うことは出来ない。
いつの間にかすっかり私の鼻に馴染んだ和泉さんのシトラスの香りに包まれる。
くっついたそこから、じんわりとお互いの熱が溶け合っていくみたいだ。