紳士な副社長からの求愛〜初心な彼女が花開く時〜【6/13番外編追加】

「…うん、チャージ完了。ああ、本当にすごく可愛い。このまま車に押し込んで連れて帰りたいくらいだけど、そうもいかないからね」


しばらくして拘束を解き、私の顔を覗き込んだ和泉さんはそう言って妖艶さを滲ませた悪戯っぽい表情で笑う。

顔を真っ赤にして動揺する私をよそに、彼は後部座席から(おもむろ)に紙袋を取り出した。
 

「はい、これ灯ちゃんにお土産。ヌガーとかチョコとかお菓子がいくつかと、あとは僕が飲んでみて美味しかった中国茶とか。それと、香港らしい可愛い花の刺繍が入ったスリッパとか。いろいろ入ってる」


目いっぱいまでお土産が詰まっている紙袋をにこにこと差し出す和泉さん。

その量に、私は驚く。


「こっ、こんなにいっぱい……?」

「はは、灯ちゃんの喜ぶ顔を想像したらつい、ね。でもちゃんと仕事もして来たから安心して?」

「そ、そこはもちろん!……でも、こんなに頂いちゃっていいんですか?」

「ん、全部灯ちゃんを想って買って来たものだから、貰ってくれると嬉しい」

「〜〜……っ、あり、がとう、ございます……っ」


またそんなどストレートに……!

今の私、ぷしゅ〜、と頭から湯気が出ているかもしれない。


「どういたしまして」

「あ、あのっ!お菓子は珠理ちゃんや佐原くんにもお裾分けしても良いですか?2人には、いつもお世話になっているので……」

「うん、それはもちろん。たくさんあるからぜひ」


ふわりと微笑んだ和泉さんを前に、私はいよいよ焦り出す。
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