紳士な副社長からの求愛〜初心な彼女が花開く時〜【6/13番外編追加】


「…何ですかこのふわふわのパンケーキは。神ですか」

「うん、想像以上に美味くてオレもびっくりしてる」


ナイフで切る必要もないくらいふわふわのパンケーキは、ひとくち口に入れると程よく甘くて口の中でとろけて、一言で言うととても美味だった。

加藤先輩も、食べながらとても感動しているようで、メガネの奥の瞳がキラキラ輝いている。


そう。加藤先輩が気になってるけれど男1人では非常に入りづらいと言っていたお店は、何とパンケーキのお店で。

確かに温かみのあるウッド調で統一されている店内はほぼ女性客で埋め尽くされ、ポツポツといる男性客も、みな女性連れだった。

お昼時だけれどたまたま、本当にたまたまひと席空いたタイミングで入ることができ、私はサーモンとアボカドのチーズパンケーキを、加藤先輩は厚切りベーコンとふわとろオムレツのパンケーキをそれぞれ頼んだ。

生クリームたっぷりのデザート系のパンケーキにも惹かれたけれど、あくまでお昼ご飯なので今日のところはおかず系パンケーキにしたのだが、これがとても美味しい。

思ったよりもボリュームもあって、サーモンの塩味とクリームチーズの酸味がほのかな甘さのあるパンケーキにとてもよく合う。


このお店はぜひ和泉さんにも教えてあげたい。

そしてこの美味しさを、一緒に共有したい。


『はい、灯ちゃんこっちも食べてごらん?』


きっと、和泉さんは食べる前に自分の頼んだ方も当たり前のように私にシェアしようとしてくれるんだろうな。

……ふふ。

小首を傾げてそう勧めてくれる和泉さんのあのお日様のような笑顔を思い浮かべたら、自然と顔が綻んだ。
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