紳士な副社長からの求愛〜初心な彼女が花開く時〜【6/13番外編追加】
だってこういう時、私は和泉さんの存在をどう表現したら良いのか分からない。

一応、和泉さんと私は今お付き合いをしている形ではある。でも、それはあくまでまだお試しのお付き合いであって正式なものではないから。

だからこの場合、彼の存在をどう伝えるべきなのか、悩む。

もし。もしもあの時私がちゃんと告白出来ていたのなら、こんな時迷うことなく"彼氏"と言える関係になれていたかな。

でもちゃんと伝えられていない今は、けじめをつけられていない今は、やっぱりまだ"彼氏"とは言えないと思うから。


「……彼氏、はいないですけど、好きな人は、います」


少し気恥ずかしくなりながらも、私はそう答えていた。


「……そっか。ひょっとして最近深町さんの雰囲気が変わったのは、その好きな人のため?」

「そう…ですね。……今までの私は恥ずかしながら自分に無頓着で、メイクも服も全部必要最小限で。でもその人に出会って、一緒にいるうちにだんだん惹かれて気がついたら好きになっていて。生まれて初めて、変わりたいって思ったんです。少しでも、彼の隣に似合う女性になりたいって。でも、自分1人ではこうはなれてなくて。いろんな人の協力があって、今の私が出来上がって……、ってなんかすみませんっ、突然自分語りを……!」


先輩相手に、私は一体何の話をしてるんだろう……!

急に我に返って、かぁぁぁ、と顔に熱が集まった。

案の定、目の前の加藤先輩は少し驚いたように瞳を丸くしていたけれど、それはすぐに柔らかい弧を描いた。

そして先輩が口を開く。
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