紳士な副社長からの求愛〜初心な彼女が花開く時〜【6/13番外編追加】
「はぁ……。バカ、そういうのを余計なお世話って言うんだよ」
「くぅ……っ!」
呆れたようなため息を吐き、項垂れる珠理ちゃんの頭をもう一度パコン、と今度は軽めに叩く。
佐原くんは珠理ちゃんと同期入社の営業マンで、入社前研修でも一目置かれていた存在らしい。
営業部に配属されてからも先輩についてどんどん仕事を覚えて行き、今では2年目にして営業部期待のホープとの呼び声が高い。
ルックスも、180センチあるかないかのスラっとした長身に、焦茶の髪は襟足短めのツーブロックヘア。普段は気怠い雰囲気を纏っていて、クールな印象。整った中性的な顔立ちも相まって、女子社員からの人気も高い。
珠理ちゃんとは仲がいいんだか悪いんだか、会う度にこうやって言い合っている。
「いや。佐原くん、大丈夫、そんなことない。珠理ちゃん、せっかくだから今日はリップ塗っていくことにするよ」
しょんぼりする珠理ちゃんが何だか不憫で、私のことを思って言ってくれてるんだろうなっていうのは伝わるから、今日の所は私が折れることにした。