紳士な副社長からの求愛〜初心な彼女が花開く時〜【6/13番外編追加】
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「……い、和泉さん、ど、どうでしょう、か……?」
「うん、それが一番良く似合ってるね。今日のメイクやヘアスタイルとも合うし、これにしようか」
おずおずと試着室から出ると、待っていた和泉さんがふわりと嬉しそうに微笑んだ。
坂崎さんにお礼をして次に連れて来られたのは、路面に面した少し大人な雰囲気のセレクトショップで。
あまりにも場違いな気がしてソワソワしていると、店内を一周した和泉さんが見繕ってきた何着かと一緒に、私はあれよあれよと言う間に試着室に閉じ込められた。
そして脱いでは着て、を繰り返すこと3回。
最後に試着した、ベビーピンクにラベンダーを混ぜたようなカラーのふんわりとしたレースのトップスと、タイトスカートのセットアップ(こういう洋服のことをそう呼ぶらしい)が和泉さんは1番お気に召したらしい。
「これも履いて、ちょっと歩いてみて?」
言われるがまま、足元に差し出されたシャンパンベージュのパンプスに足を入れ、試着室の前を軽く歩いてみる。
「サイズはどう?」
「はい、ぴったりです」
それにクッションが効いていてヒールもそこまで高くないそれは、足に馴染んでとても歩きやすかった。
多分この服同様、かなりのお値段がする代物に違いない……。
試着の時にチラリと見た、普段私が買う服よりも確実に桁の違う値札に慄いた私は、かなり慎重にその服たちに袖を通していたのだけれど。
「良かった。ーーすみません、これ、このまま着て、履いていきます。あと、これも一緒に」
和泉さんはこともなげにそう言って、いつの間に選んでいたのか、パンプスと同色のミニショルダーバッグまでをもスタッフの方に手渡してお会計に行こうとする。
「え、え⁉︎和泉さん待って下さい……っ!」
咄嗟に和泉さんの腕を掴み引き止めれば、少しイタズラな甘い眼差しに捕らえられてしまう。
「ねぇ、灯ちゃん。灯ちゃんは僕の、何だったっけ?」
う……っ!今ここでそう来る……⁉︎
返答に詰まる私。
でも、和泉さんの甘いのにどこか揶揄うようなその眼差しは、私を逃がしてはくれそうになくて。
「……か、彼女……、です……」
観念して蚊の鳴くような声で答えれば、
「ん。だからここは、素直に甘えなさい。ね?」
和泉さんは昨日のようにそう言って、ひたすらテレる私を見て満足そうに笑った。
ーーちなみにこの一連のやり取りを目撃していたスタッフの方たちが、まんまと彼の甘いイケオジっぷりに撃ち抜かれていたのは言うまでもない……。