紳士な副社長からの求愛〜初心な彼女が花開く時〜【6/13番外編追加】
「……まぁ、ちょうどブラック飲みたいと思ってたところだし、行き場ないんなら貰うけど」
文句を言いながらも私からブラックコーヒー缶を受け取ってくれる佐原くんは、喜怒哀楽をあまり表に出さなそうなクールな雰囲気なのに、意外に優しい。
すると彼は、どすん、と私の隣に座ってカシュッとプルトップを開け出した。
「……ん?ここで飲んでくの!?」
「ダメ?」
「いや、ダメじゃないけど私、何も面白い話題提供出来ないよ!?」
「……別に、期待してねーわ」
ふ、と笑みを溢してぐびっとコーヒーを煽る。
イケメンは横顔もイケメンだった。
すっと通った鼻筋に、意外と長い睫毛。中性的で綺麗な顔立ちをしているけれど、コーヒーを飲む時上下に動く喉仏は男らしい。
はっ、ついまじまじと横顔を見つめてしまった。
私もつぶりんみかん飲もう。
「……つぶりんみかんの粒って、余さず飲む方法はないのかねぇ。大体缶に張り付いて残るよね」
二口ほど飲んだ後、みかんがでかでかと描かれたオレンジ色の缶を眺めながら何の気なしに呟く。