紳士な副社長からの求愛〜初心な彼女が花開く時〜【6/13番外編追加】
寝室の扉を開くと、そこにはベッドボードに背を預け、サイドテーブルの暖色系の明かりだけで静かに本を読む和泉さんがいた。
……すごく綺麗。それだけでまるで一枚の絵画のようにサマになっているから、私はつい見惚れてしまう。
こんな人が私の彼氏で、これから先の未来までもらう約束をしているだなんて、まだ夢を見ているみたいだ。
でも左手の薬指についているリングを見て、夢じゃないと実感してにやけてしまう。
「あ、灯ちゃん、おかえり」
「……ただいまです。なに読んでるんですか?」
私に気付き、本から顔を上げた和泉さんの隣のスペースに静々と潜り込みながら聞いてみる。
「田井中先生の『水面に揺蕩う』だよ。知ってる?」
「あ、それ、私も読んだことあります。確か最後は……」
言おうとした言葉は、和泉さんに飲み込まれた。
「……こーら、灯ちゃん。僕はまだ初見だからね?結末言っちゃダメ」
唇に灯された熱とまだ至近距離にある和泉さんの顔で、あ、今キスで止められたんだと理解して、ボボボッと顔から火を吹く。
「キスなんて、金曜日の夜からもう数え切れないくらいしてるのに、毎回その反応が初々しくて可愛くて堪らない」
するとサイドテーブルに本を置いた和泉さんが、あっという間に私をベッドに組み敷いた。