紳士な副社長からの求愛〜初心な彼女が花開く時〜【6/13番外編追加】
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「灯さんはー、いつまでイケオジのこと名字呼びなんですか?」
「え?」
「ヤることヤって、将来を誓い合って、同棲までしてるのに」
「ごふっ……!ゲホ、ゲホ……っ!」
そんな毎朝の恒例行事を経て出社した、とある日のランチ時。
最近珠理ちゃんが見つけたという会社近くのベーカリーカフェで、真っ昼間から彼女が突然そんなハレンチな爆弾をぶっ込んでくるものだから、今しがた口に含んだばかりのアイスレモンティーが変なところへ入って咽せた。
「名前で呼んでって言われません?特にエッチの時とか……、ふぐっ!」
「じゅっ、珠理ちゃんっ⁉︎いい子だからそのお口、ちょっと閉じようかっ⁉︎」
それ以上の爆弾は投下させないようにと、私は涙目のまますかさず向かいの席に座る彼女の口にパンを突っ込む。
それも、ハード系のミニパン・ド・カンパーニュを。
もぐもぐ……、もぐもぐ……、もぐもぐ、もぐもぐ、ごっくん。
「ふふふ。灯さん、私の口の塞ぎ方が何か佐原に似て来ましたね!アイツもなんでも私の口に突っ込むんですよー。レディの口に、失礼だと思いません⁉︎少しはイケオジの紳士っぷりを見習ってほしいですよ、全く!」
……いや、分かる、分かるよ佐原くん……。ところ構わずこんな爆弾落とされたら、その可愛いお口に突っ込みたくもなるよね……!
なんて勝手に佐原くんに同志みたいな気持ちを抱きつつ、改めてアイスレモンティーを一口飲み咽せた喉を落ち着けた。