紳士な副社長からの求愛〜初心な彼女が花開く時〜【6/13番外編追加】
「……って、今は佐原はどうでもよくて!同棲して一ヶ月も経ってまだ名字呼びなんて、ちょっと他人行儀過ぎやしませんか⁉︎」
「い、いや、だって私にとったら和泉さんは最初から和泉さんで、もはやそれが一番しっくり来るっていうか……」
「言っておきますけど、灯さんも近い将来和泉さんになるんですからね⁉︎そこんとこ、ちゃんと自覚して下さいよ⁉︎」
グイッと勢い良くこちらへ身を乗り出して来る珠理ちゃんにタジタジになりながらもそう弁解すれば、ビシィ!と人差し指を天に向かって突き出した彼女にズバリ指摘されてしまって瞬時に顔が熱を帯びた。
「〜〜〜………!」
「もーう!今更何をテレてるんですか!でも、そんなところも可愛いから許しちゃいますけどー!」
珠理ちゃんが何やら悶えているけれど、私はもうそれどころじゃない。
〝いずれ自分も和泉さんになる〟
結婚を前提としているのだし、すでにお互いのこの先の未来を貰う約束も薬指に付けている。
なのに人から改めてそう言われると、無性に気恥ずかしくなってしまうのはもはや致し方ないと思う。
「まぁ、とにかく、恭ちゃんでもきょんきょんでも何でもいいですから!」
「そ、そこは普通に恭加さんじゃダメなの……⁉︎」
「あ!ほら!言えるじゃないですかー!それですよそれ!」
……どうやら、私は珠理ちゃんにまんまとハメられたらしい。