紳士な副社長からの求愛〜初心な彼女が花開く時〜【6/13番外編追加】
「イケオジは優しいから普段の時は名字呼びでも何も言わないと思いますけど、呼んでもらったら絶対絶対嬉しいんですから!ねっ⁉︎」

「うっ……!」


し、しかも、まるでエッチの時は名前を呼ばされている前提の口振り……⁉︎



……いや、うん。正直に言えば、確かに、確かにあの甘くて濃密な行為の最中に熱い情欲と色気を惜しげもなく込めた切ない瞳でじっと見つめられておねだりされたりすることはある、よ……?

そして、その時は私もまるで熱に浮かされたようになって頭も身体もトロトロに溶かされているから、言われるがまま譫言(うわごと)のように溢れる吐息や嬌声の合間に乗せて呼ぶことが出来る。

でも彼の名前を普通の状態で呼ぶのは、恋愛超初心者の私にはまだまだなかなかにハードルが高いのだ。

それに珠理ちゃんの読み通りで、そういえば和泉さんにベッドの中以外で名前で呼んで欲しいと言われたことはない……。

って、そんなことを考えていたら不覚にも今朝和泉さんに仕掛けられた甘いイタズラのアレコレが脳裏をよぎってしまい、私の顔からさらに火が吹いた。


「あー、灯さん、なんかヤラシイこと思い出してるー!」


……その瞬間を見逃さなかった珠理ちゃんにここぞとばかりに揶揄われたのは、言うまでもない。
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