紳士な副社長からの求愛〜初心な彼女が花開く時〜【6/13番外編追加】
「きょっ、きょっ……」
「ん?」
「きょっ、今日のお味噌汁、味薄くないですか⁉︎」
「ううん?ちょうど良くてとても美味しいよ」
「きょっ、きょっ、恐、縮、です……」
「ふはっ!何でそんなに畏まってるの」
それでもめげずに夕飯を食べながら名前を呼ぶタイミングを見計っては思い切って口を開くのに、気恥ずかしさから出てくるのは〝今日〟とか〝恐縮〟とかそんな単語ばかりで、どうしてもすんなりと呼ぶことが出来ない。
いつもなら、多忙な和泉さんと他愛のない話をしながら一緒に食卓を囲めるこの時間は私の一番のリラックスタイムのはずなのだけれど、今日ばかりは全くリラックス出来ない。
その後も何度か挑戦するも、結局食事中もミッションクリアならずで、自分のヘタレ具合に再び心の内で落胆する結果となってしまったのだった。
「ねぇ灯ちゃん。知り合いから貰った貴腐ワインがあるんだけど、一緒にどう?」
灯ちゃんはゆっくりしてて、と毎回いつも律儀に食後の後片付けを請け負ってくれる和泉さん。
それをダイニングテーブルの上で頬杖をつきながら、今日ばかりは戦いに負けたボクサーのような心境でぼんやりと見つめていれば、食器を食洗機にかけ終わったらしい和泉さんが私に白ワインの入っているらしい瓶を見せる。
「きふワイン、ですか?」
「うん。〝貴腐ブドウ〟っていう極めて糖度の高い貴重なブドウを原料に造られた甘口ワインなんだけど、すごく美味しくて飲みやすいんだ」
恥ずかしながらお酒に関する知識があまりない私は、きふワインの〝きふ〟にどういう字を宛てるのか、普通のワインと何が違うのかが分からなくて、それが顔に出ていたのだろう、和泉さんが簡単に分かりやすく説明してくれた。
「ん?」
「きょっ、今日のお味噌汁、味薄くないですか⁉︎」
「ううん?ちょうど良くてとても美味しいよ」
「きょっ、きょっ、恐、縮、です……」
「ふはっ!何でそんなに畏まってるの」
それでもめげずに夕飯を食べながら名前を呼ぶタイミングを見計っては思い切って口を開くのに、気恥ずかしさから出てくるのは〝今日〟とか〝恐縮〟とかそんな単語ばかりで、どうしてもすんなりと呼ぶことが出来ない。
いつもなら、多忙な和泉さんと他愛のない話をしながら一緒に食卓を囲めるこの時間は私の一番のリラックスタイムのはずなのだけれど、今日ばかりは全くリラックス出来ない。
その後も何度か挑戦するも、結局食事中もミッションクリアならずで、自分のヘタレ具合に再び心の内で落胆する結果となってしまったのだった。
「ねぇ灯ちゃん。知り合いから貰った貴腐ワインがあるんだけど、一緒にどう?」
灯ちゃんはゆっくりしてて、と毎回いつも律儀に食後の後片付けを請け負ってくれる和泉さん。
それをダイニングテーブルの上で頬杖をつきながら、今日ばかりは戦いに負けたボクサーのような心境でぼんやりと見つめていれば、食器を食洗機にかけ終わったらしい和泉さんが私に白ワインの入っているらしい瓶を見せる。
「きふワイン、ですか?」
「うん。〝貴腐ブドウ〟っていう極めて糖度の高い貴重なブドウを原料に造られた甘口ワインなんだけど、すごく美味しくて飲みやすいんだ」
恥ずかしながらお酒に関する知識があまりない私は、きふワインの〝きふ〟にどういう字を宛てるのか、普通のワインと何が違うのかが分からなくて、それが顔に出ていたのだろう、和泉さんが簡単に分かりやすく説明してくれた。