紳士な副社長からの求愛〜初心な彼女が花開く時〜【6/13番外編追加】
「キッ、キスとかっ、それこそじょっ、冗談ですよねっ⁉︎」
ヘビに睨まれたカエルのごとく身体が固まってしまった私は、伏し目がちに近づいてくる綺麗なお顔をただただ目を見開いて見つめることしか出来ず。
でも寸でのところであ、これマジのヤツだ、と我に返った私は、言ってしまったのだ。
"わっ、分かりましたっ!了承します!了承しますからっ!"と。
"……うーん、これはこれでちょっと残念な気もするから複雑な気分だ。でも言質は取ったよ灯ちゃん。強引でごめんね?だけどそれだけ本気ってことは分かって欲しい。だからまずはこれから3ヶ月、よろしくねーーーー"
そう言って蠱惑的に微笑んだ和泉さんからは色気がダダ漏れ過ぎて、いつもの紳士的なイケオジからのギャップがすごくて。
それが私には刺激が強過ぎて、クラクラと卒倒しそうになりながらも何とかオフィスまで戻ってきたのだったーーーー。
「……まぁそんな身元がしっかりした人間が結婚詐欺師である確率は、限りなくゼロに近いでしょうね」
「うぐ……っ!」
昼の出来事を回想していた私に、佐原くんのビールを煽りながらのその冷静な一言が刺さり、私は咀嚼していた唐揚げを喉に詰まらせてしまった。