紳士な副社長からの求愛〜初心な彼女が花開く時〜【6/13番外編追加】
……分かってる。
もはやあそこまで言われてしまえば和泉さんが詐欺師じゃないんだろうなってことくらいは。
だけどあのルックスでしかもまさかの副社長。1ヶ月半ランチを共にして中身だって申し分ないことも知っている。しかも紳士的な一面だけじゃないギャップも持ち合わせているときたもんだ。
そんなハイスペックで魅力的な和泉さんが私を好き?
100人中100人が"あんたそれ騙されてるよ"って言うレベルだし、自分でもそう思う。
だから貰った名刺を見て、そこから和泉さんを検索しようとは思わなかった。
騙されてると思っていた方が、私の精神衛生上よろしかったから。
だけど、
キスされそうになった件(クダリ)を真っ赤な顔でしどろもどろになりながら話す私を見て、
「灯さんが可愛いんですけど……!いつもどんな時でも冷静沈着な灯さんをこんなにしちゃうイケオジって、一体何者なんですか!」
そう憤慨した珠理ちゃんに貰った名刺を渡せば、くりくりの瞳をこぼれ落ちんばかりに見開いた後、光の速さで検索し始めてしまったのだった。
「……詐欺師じゃないなら、あんなハイスペックな人が私を好きとか言う理由って何……」
ゴンっ。
私はテーブルに突っ伏した。
全っ然分からない。私が男だったとしても、こんな女に魅力なんか感じない。
というか、昔からそんな魅力、私には備わっていないのだ。