紳士な副社長からの求愛〜初心な彼女が花開く時〜【6/13番外編追加】
ーー中学生の頃、こんな私にも密かに淡い恋心を抱いていた男の子がいた。
サッカー少年で、明るくてかっこよくて、クラスでもいつも輪の中心にいるような、そんな人気者の男の子、樹(イツキ)くん。
いつも教室の隅で1人本を読んでいるような私にも、
"深町、それ何読んでんの?"
なんて屈託なく話しかけてくれるような子だった。
だけどある日の放課後、忘れ物を取りに教室に戻った私を、残酷な現実が待ち受けていた。
"そう言えば聞いたか⁉︎深町って、お前のこと好きらしいぜ!"
突然教室から自分の名前が聞こえて来て、私は扉に伸ばしかけていた手をぴたりと止めた。
扉のガラス窓から見えたのは、樹くんとみゆきちゃんを含む男女数名。
私が当時この気持ちを打ち明けていたのは、その時唯一仲の良かったみゆきちゃんにだけ。
なのに、どうしてみゆきちゃん以外が私の気持ちを知っているの……。
えー!マジでー⁉︎なんて盛り上がるみんなを前に、ドクドクドク、と嫌な動悸が私の全身を駆け巡る。
"あんな地味子にも好かれるなんて、モテモテの樹くんは罪な男ですねぇ"
"西谷、うるさい"
"で、どうなの?樹くんは、地味子に告白されたらどうするんですか⁉︎"