紳士な副社長からの求愛〜初心な彼女が花開く時〜【6/13番外編追加】
「カジュアルな灯ちゃんも新鮮で可愛いね。髪、おだんごもすごくよく似合う」
居た堪れずにいる私を眩しそうに見つめ、ごく自然にするりと紡がれたその褒め言葉に一瞬で私の顔にぶわっと熱が集まった。
確かに、今日はいつも1つに引っ詰めているだけの肩下までのストレートの黒髪を高い位置でおだんごにしていたけれど……。
自然過ぎる。褒め方が、自然過ぎる……!
何このさりげない気遣い……!
「やっ、やめて下さい……っ、そういうの、言われ慣れてないんでっ」
真っ赤になった顔を隠すように俯けてそう抗議すれば、くすくすと空気を遊ばせるように笑った和泉さんは、私の頭をぽんぽんと撫でた。
「うん、そういうところも可愛い」
だっ、ダメだ……!
何を言っても恥ずか死ねる言葉しか返って来ない……!
「………い、和泉さんも、格好良いですっ………」
触れられた頭を両手で抑えながら仕返しとばかりにそう返せば、
「そう?ありがとう」
さらりと涼やかな笑顔をお見舞いされてしまうだけ。
和泉さんはイケオジだから、きっとそういうのも言われ慣れているに違いない。何か悔しい。
そして助手席のドアを開け、「さぁどうぞ」と私の背中に手を当ててエスコートしてくれるその姿も非の打ちどころがなくて。
ドキドキしながらも、一瞬自分がどこぞのお嬢様にでもなった気分にさせられた。