紳士な副社長からの求愛〜初心な彼女が花開く時〜【6/13番外編追加】
でも残念ながらリラックスできるカジュアルな格好でと言ってくれた和泉さんに甘えて、あえてデート服を新調することなく選んだ私の今日の服装は、白のパーカーにモスグリーンのスカンツ。これじゃあお嬢様とは程遠い。
これにスニーカーはさすがにカジュアル過ぎるかと、足元はペタンコのバレエシューズにしたけれど。
……本当にこんなカジュアルな服装で良かったのだろうかと、この車と和泉さんを前に今更ながら慄いてしまう。
「あ、あの、私本当にこんなカジュアルな格好で大丈夫でしたか……?」
車に乗り込む前に恐る恐るそう聞けば、
「うん、今日はその格好で大正解」
和泉さんはふわりと優しく微笑んでまた私の頭にぽん、と手を置くから、胸がドクン、と音を立てた。
……どうしよう。初っ端(ショッパナ)からもう調子を狂わされている。
こんな素敵なイケオジが私を好きだなんて、やっぱり何かの間違いではないだろうか。
無駄にドキドキする胸を抱えたまま、私はラグジュアリーな雰囲気と、いつも和泉さんから香って来るのと同じ、爽やかなシトラスの香り漂う車内に乗り込んだのだった。