紳士な副社長からの求愛〜初心な彼女が花開く時〜【6/13番外編追加】
和泉さんの運転する車、2人きりの密室、慣れないシチュエーション。
それら全てに緊張していた私の心臓はしばらくずっとお祭り騒ぎだったけれど、いつも通りの和泉さんにいつものように話しかけられている内に、それは何とか落ち着いた。
そして車に揺られること30分。
車を近くのパーキングに停めてたどり着いた先は、フラワーテラスという地下1階、地上35階建ての複合施設の前に広がる広大な緑地。
ちなみにフラワーテラスの1階から3階までは様々なジャンルのショップやレストランが軒を連ね、それより上はオフィスフロアとなっている。
広大な敷地の中にはシャボン玉遊びをしている親子、仲良く散歩をしている老夫婦、ダンスの練習をしている大学生くらいのグループ、木陰で読書をしている青年などなど、至る所で老若男女それぞれに思い思いの時間を過ごしていた。
ゴールデンウィークだからたぶん人の出は多いのだろうけれど、何しろ敷地が広いため人の多さは全く気にならない。
「うちのオフィスがこの近くにあって、ちょっと息抜きしたい時にね、会社を抜けてよくここに来るんだ」
「そうなんですね」
緑の中を並んで歩きながら和泉さんが話してくれる。