紳士な副社長からの求愛〜初心な彼女が花開く時〜【6/13番外編追加】







ーーーーあの心臓が完全に破壊されたピクニックの後、和泉さんと私は緑地を少し散策して、せっかくだからとフラワーテラスに入っているショップもプラプラ見て回った。

和泉さんも、緑地までは来るけれどフラワーテラスの中にまでは入ったことがなかったらしく、興味津々で。

中でも1番長居したのは本屋さん。3階のフロアの半分を占めていたそこは品揃えも豊富なようで、本好きな和泉さんは目をキラキラさせながら本を物色していた。

それが何だか少年のようで可愛くて。だから邪魔をしないように「私あっちの方見て来ますね」と声を掛けそっと離れて、私は私でいろいろ見て回った。

途中和泉さんを見掛けた時には、遠巻きに彼を見ていた女子たちがひそひそ囁いていて。


「ねぇちょっとあの人めちゃかっこよくない⁉︎」

「めちゃくちゃイケオジ!ヤバイ!」

「声掛けたいっ」


それを聞いた時、何となく。何となーく、ほんの少し胸を針でつつかれたような小さな違和感を覚えて、私は自分の胸を見下ろし首を捻る。


………何だろ………?


あー、多分今日は心臓に負荷が掛かり過ぎたからな。誤作動起こしてる的な?

そう勝手に結論づけた私が再び和泉さんに目を向ければ、当の本人は本に夢中でそんな周りに全く気づいていないみたいで。

何かの本を探しているのか、本棚から視線を逸らすことなくまた別の棚へと移動して行った。
< 68 / 279 >

この作品をシェア

pagetop