紳士な副社長からの求愛〜初心な彼女が花開く時〜【6/13番外編追加】
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ーーーーあの心臓が完全に破壊されたピクニックの後、和泉さんと私は緑地を少し散策して、せっかくだからとフラワーテラスに入っているショップもプラプラ見て回った。
和泉さんも、緑地までは来るけれどフラワーテラスの中にまでは入ったことがなかったらしく、興味津々で。
中でも1番長居したのは本屋さん。3階のフロアの半分を占めていたそこは品揃えも豊富なようで、本好きな和泉さんは目をキラキラさせながら本を物色していた。
それが何だか少年のようで可愛くて。だから邪魔をしないように「私あっちの方見て来ますね」と声を掛けそっと離れて、私は私でいろいろ見て回った。
途中和泉さんを見掛けた時には、遠巻きに彼を見ていた女子たちがひそひそ囁いていて。
「ねぇちょっとあの人めちゃかっこよくない⁉︎」
「めちゃくちゃイケオジ!ヤバイ!」
「声掛けたいっ」
それを聞いた時、何となく。何となーく、ほんの少し胸を針でつつかれたような小さな違和感を覚えて、私は自分の胸を見下ろし首を捻る。
………何だろ………?
あー、多分今日は心臓に負荷が掛かり過ぎたからな。誤作動起こしてる的な?
そう勝手に結論づけた私が再び和泉さんに目を向ければ、当の本人は本に夢中でそんな周りに全く気づいていないみたいで。
何かの本を探しているのか、本棚から視線を逸らすことなくまた別の棚へと移動して行った。