紳士な副社長からの求愛〜初心な彼女が花開く時〜【6/13番外編追加】
「僕も買う本決まったから、お会計して出ようか」
そしてそのままレジに並ぶ。
「これは僕に払わせてね?1人にしちゃったお詫びも兼ねて」
「えっ、そんなの大丈夫ですっ、全然気にしてませんから!」
「ダーメ。これくらい払わせて?」
「いやいやそんな訳にはっ!それ、ハードカバーですし!」
「ふはっ!灯ちゃんはもう……。うーん、そうだな。じゃあ僕がこの本を買う代わりに、灯ちゃんは後で僕のお願いを1つ聞いてくれる?」
「お願い、ですか……?」
「そう、お願い。どうかな?」
和泉さんが悪戯っぽく口角を持ち上げ、可愛く小首を傾げる。
……あれ、この流れ、何か毎週水曜日にランチに誘われた時と同じ感じ?
でもこのまま払うって言っても絶対払わせてくれないだろうし。
和泉さんは私がしてもらいっ放しが苦手なのをもう分かっているからこそ、そういう条件を出してくれているんだろうな。
私が気を遣わなくていいように。
ならここは素直に了承するのが良さそうだ。
「……分かりました……」
「ん、ありがとう」
「いや、こちらこそです……」
嬉しそうに微笑んだ和泉さんがお会計を済ませてくれた本を持って、途中飲み物とお菓子も調達して、私たちは再び緑地へと向かったのだった。