紳士な副社長からの求愛〜初心な彼女が花開く時〜【6/13番外編追加】


"会社の近くまで迎えに行くね"


デートを了承した後送られて来たメッセージ。


"わざわざ来て頂くのは申し訳ないので、待ち合わせ場所やお店を指定して頂けたらそちらに向かいますよ?"


そう返信をした私に和泉さんは、


"これは少しでも早く灯ちゃんに会いたいって言う僕のわがままだから。だから、迎えに行かせて?"


と、追い討ちをかけるようにどストレートな返しをして来るもんだから、誰もいない部屋で私はそれこそ赤面して悶絶する羽目に……。



……いや、ほんと思い出しただけで恥ずか死ねる。



「……灯さん、私お昼休み終わる前にちょっと寄りたいところあるので、お先に失礼しますね!」

「え⁉︎」


そんな私をニマニマ眺めていた珠理ちゃんは、緩んだ頬を唐突に元に戻しながらそう言うや否や残りのおかずをものすごいスピードで平らげ始める。


「灯さんはごゆっくり!私の分、ここに置いておきますね!ではまた後で!」


そしてどん!と自分の分のお代をテーブルに置き、その勢いのままあっという間にお店を出て行ってしまった。


しばらく呆気に取られていたもののこのオシャカフェで1人放置されることほど居心地の悪いことはないので、私も残りを急いで食べ終えそそくさとお店を後にしたのだった。

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