無

梅雨④

起きた時には10時になっていた。

ミーがソファーの側でこちらを見て鳴いていた。

彼女は僕の横で朝の情報番組を見ていた。

「おはよう。あなたが来るかと思って待ってたのよ？」と冗談を交えながら彼女は微笑んだ。

「何か食べる？コーヒーは？」

「コーヒーだけいただくよ」

そう言うと彼女はキッチンに向かい、コーヒーを淹れてくれた。

タバコを吸いながら、晴れた天気を眺めていた。

「一度家に帰って着替えてくるよ。車で迎えに来る」

「今日は私が付き合ってもらうんだから、私が家まで送るよ」

コーヒーを飲み終え、彼女と部屋を出た。

彼女は白の普通自動車に乗っていた。

ラジオでは天気予報が流れていた。

「東京の天気は昼間は夏並みの暑さで、午後から雨が降るもようです」

家に着くと、彼女を車で待たせるのも申し訳ないので僕の部屋で待ってもらった。

「あまり物がないのね」

彼女はそう言って辺りを見渡した。

「部屋にあまり物を置きたくないんだ。広々とした空間が好きだから」

彼女は特に聞いてなかったようで、何事もなかったかのようにテレビをつけた。

着替えと歯磨きを終えた後、どこに行くのか聞いた。

「夏物の服を見に行きたいの。私髪を切ったでしょ？だからそれに似合う物があればと思って」

「わかった、先にお昼ご飯でも食べる？」

そうねと言って我々は部屋を出た。

土曜日ということもあり、車は渋滞していたが渋谷に着いたのは12時だった。

彼女はサンドウィッチとコーヒーを注文し、僕はフランクドッグとビールを注文した。

周りは学生や家族で賑わっていた。

お店を出た後、彼女は一緒についてくる？それともあなたが行きたいところに行ってもいいけどと言われたので、彼女とは別々に行動することにした。

特に行きたいところはなかったが散歩をした。

途中で雑貨屋があったので、そこに入ることにした。

店員さんは二十代の女性で髪を後ろで束ねていた。

綺麗な顔立ちだった。

僕は調理器具や掃除道具を見ていた。
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