またすぐ会えるよ②

食事を終えた後、いつものように彼女を家まで送った。

マンションの下まで着くと、少しだけ部屋に寄っていくか聞かれたがお互い翌日が仕事だったので断った。

「次はいつ会えるかな?」

彼女は微笑みながら「すぐに会えるよ」と言い部屋へ帰って行った。

街は仕事関係の人やカップルが行き交っていた。

途中で小雨が降り出したが傘を持っていなかったので濡れたまま部屋に着いた。

シャワーを浴びて冷蔵庫から缶ビールを取り出した。

テレビをつけてみたが特に面白いものもなかったので音楽を流した。

昨日の夜から彼女を送り届けるまでのことを頭の中で整理した。

特に特別なことはなかった。

次の日の朝は7時に起きて9時に家を出た。

会社には2人ほどしかおらず受付けの女の子達は休みだった。

同僚と軽い会話を交わした後、OA機器を取り付けるために営業先へ向かった。

そこは病院だった。

受付けには40代くらいの女性が面会の対応を行なっていた。

彼女は特別綺麗とか可愛いといった感じではなかったが、穏やかで丁寧な対応をし来館者もそれに応じた話し方をしていた。

僕が来ると内線で看護師を呼び、受付けを一旦任せ僕を事務所内に案内した。

設置が終わったら声をかけて欲しいと言い残し彼女は受付けへ戻った。

事務所内は僕以外誰もいなかった。

病院や学校では珍しくない光景だ。

遠くでは話し声や歩く音が聞こえた。

設置が終わり彼女に伝えに行くと、先ほどのように看護師を呼んで受付けを頼んだ。

動作の確認や簡単な操作方法を伝えサインをもらった。

「日曜日なのに大変ですね」

僕はお互い様ですよとだけ答えた。

彼女は玄関まで僕を見送り次の営業先へ向かった。

同じように2件、3件と対応した後、会社へ戻った。

時刻は14時。

会社には1人だけおり軽い会話をして帰った。

帰りに喫茶店に寄ることにした。

スーツを着ているのは僕だけだった。

その日は晴れていた。

若いカップルや女性同士の客がいた。

軽い食事とコーヒーを注文した。

食べ終わろうとした時、1人の女性がやってきた。

さっきの病院の受付けの女性だった。
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