NIGHT&KNIGHT


「それはだめ!わたしが舐めたやつだし」

「落ちたやつってのはいいんだ」


「なにか作るよ。なにがいい?」

「えっじゃあビーフストロガノフ」


「明日になってもいいのなら作るけど」

「うそうそ。軽食ならなんでもいーよ」


なんて言いながら部屋に入ろうとしたときだった。


ガタッと仕切り板の向こうから物音がした。


とっさによるくんがわたしの前に出る。



お、怒られる……!




「あ、あの。大丈夫ですか?」


だけど予想に反して聞こえてきたのは、どこか控えめな女性の声だった。


姿は見えないというのに、わたしはあわてて頭を下げた。




「は、はい……!あの、夜分遅く、本当にお騒がせして申し訳ありません……ご迷惑をおかけしました」

「いえいえ、そんな!気にしないでください」


気を遣ってくれているのだとしても、そう言ってくれたことにほっとする。


お隣さんは「あの」と、まだなにかを言いたそうに声をあげた。







「微力ですが……私でよければ、いつでも頼ってくださいね」



< 14 / 16 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop