NIGHT&KNIGHT
「……へ、」
「彼氏さんが言ったように、迷惑なんかじゃないですから。ほんとに、いつでも相談してください」
仕切り板の下から、かさりと何かの紙がこちらへ寄越された。
拾いあげそれを広げてみると、メールアドレスが走り書きで綴られていて。
わたしが声をかけるよりも早く、お隣さんが部屋へと入っていく音がした。
「いい人じゃん、隣」
「……うん」
「あと俺がいとこってことはちゃんと訂正しておけよ」
「はいはい、わかってるってば」
煙草の火を足でもみ消したあと、キャンディと共に拾う。
そういえば棒つきキャンディなんて食べるのいつぶりだろ。
なんか、ちょっとハマっちゃいそう。
煙草……やめてみよっかな。
いきなりは無理でも、週に3本にするとか。
「今日泊めろよ」
「うん」
「あと風呂貸して」
「うん」
「ひさしぶりに一緒に寝るか」
「う……うん?…………、うん」
そうだ。
難しいことは、まだ考えなくていい。
いまは休むことだけでいい。
ゆっくり休んで、子供をやり直して。
あとのことは、それから、考えていこう。