NIGHT&KNIGHT
「香水また変わった」
「おー」
「よるくんって、よるくんのくせに意外とモテるよね」
「うっせ」
髪をぐしゃぐしゃにされるがままになりながら、わたしは煙草を肺いっぱいに吸いこんだ。
体内に溜まったけむりはぐるぐる身体をめぐって、悪いものを巻き込んでいく。
不純物、不必要なもの、余計な感情、全部全部。
「あさひ」
すっと横から伸びてきた手が、わたしの口から煙草を抜き取った。
「悪いことは言わねぇ。煙草はやめな」
人にそう言っておきながら、よるくんは迷うことなくそれを口にくわえる。
さっきまでわたしがくわえていたやつだというのに、ためらう間もなかった。
煙草を口にはさんだまま、よるくんはまるで手品のようにあるものをぱっと手に掲げてみせた。
どこにでもあるような、棒つきキャンディ。
「ガキはこれで我慢しとけ。な?」
「もう22なんですけど」
「いいから、ほれ」