NIGHT&KNIGHT
ぼろぼろとさっきまでの比じゃないくらい、涙があふれてくる。
もう2時間はずっと、泣きつづけていた。
口の締まりが甘くなる。
かつんとベランダの地面に落ちたのは、ダークエスプレッソの棒つきキャンディ。
「も、やだ……こんなに泣き虫じゃなかった、弱くなかった、ちゃんとやれてたのに」
それまではただの時間帯でしかなかったのに。
誰にでも平等におとずれる時間、そしていつかは去っていく時間。
ねえ、だれが……誰が予想した?
こんなに、深いなんて。長いなんて。怖いなんて。不安になるなんて。
いつまでもそこにいる闇に、ひたすら怯えることになるなんて。
このままじゃ、いつか
──────夜に呑まれる。
仰向けで寝ることができなくなった。
赤ちゃんみたいに丸まって、
手足をぎゅっと縮こめて、
なにかぬいぐるみを抱きしめて。
そうでもしないと、夜という夜に押しつぶされてしまいそうだった。